世界の海を旅しながら医療の現場に携わる船上看護師をシップナースといいます。
シップナースの年収と求人
豪華客船の上で、様々な国籍の乗客の健康と安全を守る船上看護師は、看護師としての専門スキルを活かしながら、世界中の絶景を巡ることができる魅力的な職業それがシップナースというキャリアです。

シップナースの給料と看護師の平均年収
シップナースの気になる年収や待遇面はどうなってるのでしょうか。
給与水準と報酬体系
年収は36,000〜60,000ドル(約500万円〜840万円)上級職ともなると(リードナース、メディカルマネージャーなど):年収70,000ドル(約980万円)以上ともいわれています。
シップナースの年収は、以下の要素によって大きく変動します
- 勤務する船会社
- 経験年数と保有資格
- 船のクラス(ラグジュアリー、プレミアム、スタンダードなど)
- 契約期間と勤務条件
一般的な給与水準(目安)
- 月給:3,000〜5,000ドル(約42万円〜70万円)
- 年収:36,000〜60,000ドル(約500万円〜840万円)
- 上級職(リードナース、メディカルマネージャーなど):年収70,000ドル(約980万円)以上
※年俸制の場合もあります。
看護師全体の平均給料と比較
男性・女性看護師の年齢別 平均給料・年収
| 年齢 | 男性看護師 平均給料 | 男性看護師 平均年収 | 女性看護師 平均給料 | 女性看護師 平均年収 |
|---|---|---|---|---|
| 20~24歳 | 29万5000円 | 約396万円 | 29万6000円 | 約402万円 |
| 25~29歳 | 34万6200円 | 約490万円 | 33万2200円 | 約472万円 |
| 30~34歳 | 35万5300円 | 約515万円 | 33万4200円 | 約481万円 |
| 35~39歳 | 37万6700円 | 約544万円 | 33万1000円 | 約476万円 |
| 40~44歳 | 38万5100円 | 約555万円 | 35万2300円 | 約514万円 |
| 45~49歳 | 40万0700円 | 約591万円 | 37万1600円 | 約547万円 |
| 50~54歳 | 38万7700円 | 約562万円 | 38万8200円 | 約566万円 |
| 55~59歳 | 39万8100円 | 約595万円 | 39万4800円 | 約585万円 |
| 60~64歳 | 33万5100円 | 約492万円 | 33万5200円 | 約477万円 |
| 65~69歳 | 34万8600円 | 約479万円 | 32万8800円 | 約447万円 |
| 70~歳 | 30万9500円 | 約434万円 | 30万2100円 | 約406万円 |
| 全体平均 | 36万5100円 | 約525万円 | 35万0600円 | 約506万円 |
※賃金構造基本統計調査 / 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種DBより
シップナースは年俸による給料制度の場合もあります。
経験値にもよりますが初任給で年俸650万円という事例もあります。
看護師全体の平均給料、平均年収と比べてもシップナースの収入は高い傾向にあります。
福利厚生と生活条件
一例ですが、
シップナースには給与以外にも、以下のような福利厚生が提供されます。
- 個室の船員キャビン
- 船内での食事(無料)
- ユニフォーム(支給または手当)
- 船員専用の娯楽施設の利用
- 医療保険・傷害保険
- クルーズ中の寄港地観光の機会
- 家族や友人のクルーズ割引
また、勤務中は生活費がほとんどかからないため、給与のほとんどを貯金することが可能です。これは、短期間で資金を貯めたい方にとって大きなメリットとなります。
契約条件と勤務サイクル
シップナースの契約の例
一例ですが、以下のような勤務サイクルがあります
- 年俸制の契約期間:12ヶ月
- オンボード(乗船)期間:連続して4〜6ヶ月
- 休暇期間:6〜8週間
このような勤務サイクルは、一定期間集中して働いた後にまとまった休暇を取れるという特徴があります。この期間を利用して、さらなる資格取得や、次の契約に向けた準備をすることができます。
契約更新の条件としては、以下のような要素が考慮されます
- 業績評価
- チームワーク
- 適応能力
- 健康状態
- 会社の人員ニーズ
年俸制の仕事は期間の成績によって採用が継続可否が決定されます。長期的にシップナースとしてのキャリアを築くためには、これらの評価項目で高い評価を得ることが必要と考えられます。
シップナースになるには
高年収で魅力的な看護師の仕事ですが、どうすればシップナースになれるのでしょうか?
まずは求人募集に応募する
魅力あるシップナースの求人は非常に狭き門です。
シップナースの求人について
滅多に募集が行われないシップナースの求人。
シップナースの求人は非常に少ないのが現状で、就職は簡単ではありません。
具体的な求人の探し方について
基本的に客船運行企業での求人となります。
- 飛鳥Ⅱ(郵船クルーズ株式会社)
- 飛鳥Ⅲ(郵船クルーズ株式会社)
- にっぽん丸(商船三井客船)
- ぱしふぃっくびいなす(日本クルーズ客船)
日本のシップナースの求人は、一般的な看護師の求人と比べて非常に少ないのが現状ですが、以下の方法で探すことができます。
1. クルーズ船会社の公式ウェブサイト
日本の主要なクルーズ船会社の採用ページを直接確認する方法が最も確実です。
- 郵船クルーズ (飛鳥Ⅱ):https://jobs.asukacruise.co.jp/faq/
- 商船三井客船 (にっぽん丸): https://www.nipponmaru.jp/recruit/
- せとうちクルーズ (guntû): https://guntu.jp/recruit/
- ぱしふぃっくびいなす(日本クルーズ客船):https://www.cruisevacation.jp/recruit/
各企業とも、看護師の求人が掲載されるのは稀です。各船の運行企業ウェブサイトでは、不定期にシップナース(船医・看護師)の募集が掲載されることがありますが非常に稀です。
※2025年に日本郵船の飛鳥Ⅲが就航しました。募集はすでに終了しております。
2. 看護師専門の転職サイト
シップナースの求人は基本的に客船運行企業によるものが中心です。ただし、大手求人サイトには非公開の求人案件が多く登録されているため、珍しい職種の仕事を希望する場合は登録して良い転職先を見極めるための準備をしておくのも一つの手段です。
看護師専門転職サイトの中でも、より多様な非公開案件の求人が掲載されるのがこちらです。
これらのサイトに登録し、担当のキャリアアドバイザーに希望のの仕事を伝えておくと、ご自身の求める非公開求人を紹介してもらえる可能性もあります。より希望に沿った求人に出会うためには複数のサイトへ登録しておくとよいでしょう。
転職意思のある人向けのサービス
こちらの転職サイトに非公開で表に出ない求人も扱っています。
無料で登録できますが、転職意思のある方、良い転職先があれば転職を考えている人向けのサービスです。自分では見つけられない良い看護職が見つかる可能性があるので、将来転職を検討する可能性のある方は特に、今後のために登録しておくと良いでしょう。
以下、
シップナースを目指す方に向けて、必要な資格や経験、日々の仕事内容など。
シップナースとは?豪華客船で活躍する船上看護師

豪華客船といえば、優雅な休暇を過ごす乗客の姿が思い浮かびますが、そこには24時間体制で乗客と乗組員の健康を守る医療チームが存在します。シップナースは、その中核を担う船上看護師です。
シップナースの役割と責任
シップナースは単なる看護師ではありません。船内という限られた環境で、以下のような多岐にわたる責任を担っています:
- 船内クリニックでの診療補助
- 緊急医療対応
- 乗客・乗組員の健康管理
- 医薬品・医療機器の管理
- 感染症対策と公衆衛生管理
- 健康教育と予防医療
- 医療記録の管理
特に海上では陸上の病院のような十分な設備がなく、また緊急時に簡単に外部の医療機関に頼ることができないという制約があります。そのため、陸上の看護師以上に幅広い知識と判断力、そして臨機応変な対応力が求められるのです。
船内医療施設について
大型の豪華客船には通常、小規模ながらも設備の整った医療施設が設置されています。
一般的な船内クリニックには以下のような設備があります
- 診察室
- 処置室
- 隔離室
- 薬剤管理エリア
- 簡易的な検査設備
- 基本的な救急医療機器
これらの施設を活用し、シップナースは医師と協力して船内での医療ケアを提供します。緊急時には、船の目的地変更や、ヘリコプターによる患者搬送の判断にも関わることがあります。
シップナースの仕事内容
シップナースは、客船に乗船し、乗客とクルーの健康管理全般を担う看護師です。主な仕事内容は多岐にわたります。
- 診療の介助: 船内の医師の指示に基づき、診察の補助や必要な処置を行います。船内には薬剤師がいないため、薬の準備や患者への説明も重要な業務です。
- 夜間のオンコール対応: 診療時間外に急な体調不良者や怪我人が出た場合に対応します。
- 寄港地での受診サポート: 症状が重い患者が寄港地の病院で受診する際に付き添い、サポートします。
- クルーの健康診断: 定期的に乗組員の健康診断を実施し、健康状態を管理します。
- 船内の衛生管理: 船内の救急箱やAED(自動体外式除細動器)の点検、水質検査など、船内の衛生環境を保つための業務も行います。
この記事の筆者は、実際に豪華客船「飛鳥Ⅱ」でシップナースとして勤務し、世界一周クルーズを経験しています。幅広い診療科の知識と臨床経験が求められる、やりがいのある仕事であると述べられています。
シップナースになるために必要な資格と条件
シップナースになるためには、看護師としての基本的な資格に加え、いくつかの重要な条件を満たす必要があります。ここでは、必須となる資格や条件を詳しく見ていきましょう。
基本的な看護師資格と経験
まず必須となるのは、以下の資格と経験です:
- 看護師免許(日本の場合は正看護師免許)
- 臨床経験(最低3〜5年以上、特に救急医療経験が重視される)
- BLS(Basic Life Support:一次救命処置)資格
- ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support:二次救命処置)資格
- PALS(Pediatric Advanced Life Support:小児二次救命処置)資格が望ましい
これらの資格に加え、実際の現場では緊急対応能力が重視されるため、救急外来やICU、ERなどでの勤務経験があると有利です。様々な症状や疾患に対応できる総合的な看護スキルも求められます。
求められる英語力とコミュニケーションスキル
海外の客船では、シップナースとして働く上で、英語力は必須のスキルとなります。
国際的な豪華客船では、乗客も乗組員も多国籍であるため、以下のような英語能力が求められます
- 医療英語の理解と使用能力
- 患者とのコミュニケーション能力
- 医療記録の英語での記載能力
- 緊急時の英語での対応能力
海外の豪華客船での採用を目指すなら英語は高いレベルで必須スキルとなります。
具体的な英語力の目安としては、TOEIC 800点以上、IELTS 6.5以上、または同等レベルの英語力があるべきでしょう。また、英語以外の言語(特にスペイン語、フランス語、ドイツ語など)ができると、さらに採用の可能性が高まります。
国内の客船ではそこまでの語学力は必要ありません。日常会話程度で十分です
国際的な医療資格と証明書
船会社や船籍国によって異なりますが、国際的に認められた以下のような資格や証明書も必要になる場合があります
- 船員健康証明書
- 船員手帳
- STCW(Standards of Training, Certification and Watchkeeping for Seafarers:船員の訓練、資格証明及び当直の基準に関する国際条約)に基づく基本訓練修了証
- 海外就労ビザ(クルーズ船の運航ルートによる)
これらの資格や証明書の取得には時間とコストがかかるため、応募前に必要な資格を確認し、計画的に準備を進めることが重要です。
シップナースの具体的な仕事内容と一日のスケジュール
シップナースの仕事は多岐にわたり、陸上の病院勤務とは大きく異なる特徴があります。ここでは、具体的な業務内容と一般的な勤務スケジュールを紹介します。
日常業務と緊急対応
シップナースの日常業務には以下のようなものがあります
- 外来診療の補助(問診、バイタルチェック、処置など)
- 乗客・乗組員の定期健康診断
- 慢性疾患を持つ乗客のフォローアップ
- 薬剤の管理と投与
- 船内の衛生状態のモニタリング
- 感染症対策(特にノロウイルスなどの感染症予防)
- 健康教育(乗客向けの健康セミナーなど)
- 医療記録の管理と更新
また、緊急時には以下のような対応が求められます:
- 心肺蘇生や救急処置
- 重症患者の安定化
- 医師との連携による治療
- 必要に応じた陸上医療機関への患者移送の準備
- 大規模な健康危機(感染症の集団発生など)への対応
典型的な勤務スケジュール
シップナースの勤務体制は船のサイズや運航形態によって異なりますが、
一例ですが以下のようなシフト制が考えられます
- 12時間シフト(例:午前7時〜午後7時、午後7時〜午前7時)
- オンコール体制(緊急時に呼び出し対応)
- 週6日勤務、週1日休み(クルーズの長さによって変動)
具体的な一日のスケジュール例(日勤の場合):
- 7:00 – 勤務開始、夜勤からの引き継ぎ
- 7:30 – 医療チームミーティング
- 8:00 – 外来診療開始
- 12:00 – 昼食休憩
- 13:00 – 船内巡回、乗組員健康チェック
- 15:00 – 医療記録の更新、物品管理
- 17:00 – 緊急対応訓練(定期的に実施)
- 19:00 – 夜勤への引き継ぎ、勤務終了
当然、緊急事態が発生した場合はこのスケジュールは大きく変動します。
シップナースは常に緊急対応の準備ができていなければなりません。
特殊な状況への対応
船上という特殊な環境では、陸上では経験しない以下のような状況への対応も求められます:
- 船酔いや乗り物酔いの対応
- 熱帯地域での特有の感染症対策
- 寄港地で感染した疾患の対応
- 船内での食中毒発生時の対応
- 大規模災害時(船の事故など)の救護活動
これらの特殊な状況に対応するため、シップナースには高い適応力と冷静な判断力が求められます。
シップナースの求人 日本と海外
シップナースを目指す方にとって、実際の求人情報や応募方法を知ることは重要です。
- 看護師専門の転職サイトに登録する 看護師向けの転職サイトでは、なかなか見つからない看護師求人を取り扱っている場合があります。
- クルーズ船運営会社の公式サイトを確認する 日本のクルーズ船会社や外国船の日本代理店の公式サイトで直接求人情報を探す必要があります。
日本の主なクルーズ船の求人と採用情報
| 船名 | 運営会社 | 採用ページ |
|---|---|---|
| にっぽん丸 | 商船三井客船 | https://www.nipponmaru.jp/recruit/ |
| 飛鳥Ⅱ | 郵船クルーズ | https://jobs.asukacruise.co.jp/ |
| ガンツウ | せとうちクルーズ | https://guntu.jp/recruit/ |
このほかに、ボランティアで看護師として乗船できるピースボート(報酬なし)のようなタイプもあります。外国船でも日本人看護師のシップナース求人があることもありますので、海外クルーズ会社の日本語サイトも確認されるとよいでしょう。
客船運行会社での求人では看護師の募集は滅多に掲載されません。乗船クルーや陸上スタッフの求人はありますが、看護師の場合は欠員募集が基本となっているようです。
シップナースに採用された看護師は長く務める傾向があり、募集が出ても1名、多くて2名なので、滅多に求人は出ません。
とはいえ、よりよい看護職への転職を目指すなら情報収集だけは継続しておきたいところです。
海外の豪華客船運営会社
シップナースを雇用している主な企業には、以下のような豪華客船運営会社があります:
- ロイヤル・カリビアン・クルーズ(Royal Caribbean Cruises)
- カーニバル・クルーズ・ライン(Carnival Cruise Line)
- ノルウェージャン・クルーズ・ライン(Norwegian Cruise Line)
- MSCクルーズ(MSC Cruises)
- プリンセス・クルーズ(Princess Cruises)
- ホーランド・アメリカ・ライン(Holland America Line)
- ディズニー・クルーズ・ライン(Disney Cruise Line)
これらの企業は定期的にシップナースの求人を出しています。
また、医療人材に特化した以下のような専門の人材紹介会社も活用できます
- ダイバーシフィード・クルーズスタッフ(Diversified Cruise Staff)
- クルーズシップジョブス(Cruiseshipjobs.com)
- クルーズライン・ジョブス(Cruiselinejobs.com)
応募プロセスと面接のポイント
海外の場合、シップナースの応募プロセスは通常、以下のようなステップで進みます:
- オンライン応募(履歴書、資格証明書の提出)
- 書類選考
- 英語力テスト(筆記・口頭)
- ビデオ面接または対面面接
- 健康診断
- 最終選考
- 雇用契約の締結
面接では以下のようなポイントが重視されます:
- 救急医療経験と対応力
- 英語でのコミュニケーション能力
- チームワークと適応力
- 異文化理解と対応能力
- ストレス耐性と問題解決能力
面接の際は、具体的な臨床経験や緊急時の対応例を英語で説明できるように準備しておくことが重要です。
シップナースのキャリアパスと将来性
シップナースとしてのキャリアは、単に船上で働く期間だけでなく、長期的なキャリア形成の観点からも考える必要があります。ここでは、キャリアの発展可能性と将来性について解説します。
船内でのキャリアアップ
シップナースとして船内でのキャリアアップを目指す場合、以下のようなステップがあります:
- ジュニアナース → シニアナース → リードナース
- メディカルチームコーディネーター
- 医療部門マネージャー
これらの上位職に就くためには、以下のようなスキルや実績が求められます:
- リーダーシップ能力
- 管理経験
- 複数の専門医療資格
- 優れたコミュニケーション能力
- 多言語対応能力
陸上キャリアへの活かし方
シップナースの経験は、陸上に戻った後のキャリアにも様々な形で活かすことができます:
- 国際医療機関での勤務(国際的な医療経験が評価される)
- トラベルナース(短期契約で様々な場所で働く看護師)
- 救急医療の専門家としてのキャリア
- 感染症対策の専門家
- 医療ツーリズム関連の仕事
- 国際医療支援団体での活動
シップナースとしての経験は、特に「緊急対応能力」「国際的な医療知識」「異文化コミュニケーション能力」の面で高く評価されます。
シップナースの実態:現役シップナースの体験談
実際にシップナースとして働いている方々の体験談から、リアルな仕事の実態を見ていきましょう。
魅力とやりがい
現役シップナースが語る仕事の魅力には、以下のようなものがあります:
世界各地への旅行機会 「休日には寄港地を観光できるのが最大の魅力です。一般の旅行では行けないような場所にも行けますし、地元の人との交流も深められます。」(30代・女性・シップナース経験5年)
多様な医療経験 「様々な国の患者さんに対応することで、国際的な医療の視点が身につきます。また、限られた設備の中で創意工夫して医療を提供する能力も磨かれます。」(40代・男性・シップナース経験7年)
人間関係の広がり 「世界中の医療スタッフや乗組員と一緒に働くことで、生涯の友人ができました。異なる文化や考え方に触れることは、看護師としても人間としても成長できる貴重な経験です。」(30代・女性・シップナース経験3年)
直面する課題と対処法
一方で、シップナースが直面する課題も少なくありません:
時差や船酔いへの適応 「最初の数週間は、時差ボケや船酔いに苦労しました。徐々に体が慣れていきますが、対策として船酔い薬の常備や、規則正しい生活リズムの維持を心がけています。」(20代・女性・シップナース経験2年)
限られた医療リソース 「陸上の病院とは違い、高度な医療機器や専門医がすぐに利用できないことがあります。そのため、基本的な医療技術を磨き、創意工夫する能力が必要です。」(40代・男性・シップナース経験10年)
長期間の家族との別離 「最も難しいのは、長期間家族と離れて暮らすことです。ビデオ通話を活用したり、休暇中は集中して家族との時間を過ごすようにしています。」(30代・女性・シップナース経験4年)
現役シップナースからのアドバイス
現役シップナースからのアドバイスには、以下のようなものがあります:
- 「英語力は絶対に必要。医療英語を含め、日常会話レベル以上の英語力を身につけるべき。」
- 「救急対応のスキルを磨いておくこと。いざという時に冷静に対応できる能力が求められる。」
- 「異文化に対するオープンな姿勢を持つこと。様々な国の人との協働が日常的になる。」
- 「体力と精神力の維持。長時間勤務や緊急対応に耐えられる体制づくりが重要。」
- 「柔軟性と適応力。予期せぬ状況が多いため、臨機応変に対応する姿勢が成功の鍵。」
日本人シップナースの特徴と強み
日本人看護師が持つ特性や強みが、シップナースとしてどのように活かされるか、また日本人ならではの課題について考察します。
国際的に評価される日本人看護師の強み
日本人看護師は国際的に以下のような点で高く評価されています:
- 細やかな観察力と丁寧なケア
- 規律正しい勤務態度と時間管理能力
- チームワークを重視する協調性
- 衛生管理への高い意識と実践力
- 忍耐力と真面目な仕事への取り組み
これらの特性は、特に高級客船では重視される傾向があり、日本人シップナースの評価にプラスに働いています。
日本人が直面しやすい課題
一方で、日本人シップナースが特に直面しやすい課題としては以下のようなものがあります:
- 英語でのコミュニケーション(特に医療英語と専門用語)
- 自己主張の必要性(意見や判断を明確に伝える場面が多い)
- 異文化環境への適応(食事や生活習慣の違い)
- 個人の判断を求められる場面への対応
- ホームシックや日本食への恋しさ
これらの課題に対しては、事前の英語学習、異文化コミュニケーションの訓練、留学経験など、国際的な環境に慣れる機会を持つことが重要です。
準備と心構え
日本人がシップナースとして成功するための準備と心構えとしては、以下のようなことが挙げられます:
- 英語学習への積極的な取り組み(特に医療英語の習得)
- 国際的な医療環境での研修や経験(可能であれば)
- 異文化理解のための学習(文化的背景による医療観の違いなど)
- 自己主張とコミュニケーション能力の強化
- メンタル面での準備(長期間の海外生活への適応)
また、日本人シップナースのネットワークを活用し、先輩からアドバイスを受けることも有効です。SNSなどを通じて、現役で活躍している日本人シップナースとコンタクトを取ることも一つの方法です。
シップナースを目指すための実践的ステップ
シップナースになるという目標に向けて、具体的にどのようなステップを踏めばよいのか、実践的なロードマップを提案します。
短期的な準備(1〜2年)
まずは1〜2年の短期的なスパンで以下の準備を進めましょう:
- 専門的な臨床経験の積み上げ
- 救急外来、ICU、ERなどでの勤務経験を積む
- BLS、ACLSなどの救急医療資格の取得
- 英語力の向上
- 医療英語の学習(専門書籍や医療英語コースの活用)
- 英語資格試験(TOEIC、IELTS)の受験と目標スコアの達成
- オンライン英会話などを活用した会話練習
- 情報収集と人脈形成
- シップナース経験者との交流(SNS、専門フォーラムなど)
- クルーズ会社の採用情報の定期的なチェック
- 国際医療に関するセミナーやイベントへの参加
中長期的な計画(2〜3年)
より長期的な視点で以下の計画を立てましょう:
- 追加資格の取得
- 国際的に認められた看護資格(必要に応じて)
- 特殊な医療スキル(トリアージ、災害医療など)の習得
- 船員関連の基本資格(STCW基本訓練など)
- 国際経験の蓄積
- 可能であれば短期の海外研修や留学
- 国際医療ボランティアへの参加
- 外国人患者が多い医療機関での勤務経験
- 応募準備と面接対策
- 英文履歴書の作成と改善
- 英語での面接練習
- 必要書類の準備(推薦状、資格証明書の英訳など)
具体的な応募と乗船までの流れ
実際の応募から乗船までの流れは以下のようになります:
- 求人情報の確認と応募
- クルーズ会社の公式サイトや転職エージェントを通じて応募
- オンライン応募フォームの記入と必要書類の提出
- 選考プロセスへの対応
- 英語テストや適性検査への対応
- ビデオ面接または対面面接の準備
- 健康診断と適性確認
- 内定から乗船まで
- 雇用契約の確認と締結
- ビザや渡航準備
- 船員訓練の受講(安全訓練など)
- 乗船地への渡航
- 初期研修と適応期間
- 船内での初期研修(オリエンテーション)
- 医療チームへの統合
- 業務習熟期間(通常は2〜4週間)
このプロセスを通じて、段階的にシップナースとしてのキャリアをスタートさせることができます。
シップナースのための実用リソースとツール
シップナースを目指す方や、すでにシップナースとして働いている方に役立つリソースやツールを紹介します。
推奨される学習リソース
シップナースに必要なスキルを習得するための学習リソースとしては、以下のようなものがあります:
- 医療英語の学習教材
- 『医療英語 トレーニングブック』(メディカルビュー社)
- 『看護英語 プラクティカルガイド』(医学書院)
- オンラインコース:Coursera「English for Medical Purposes」
- 救急医療スキル向上のための教材
- 日本ACLS協会の公式教材
- 日本救急医学会の教育プログラム
- アメリカ心臓協会(AHA)の教育コース
- 国際医療に関する書籍
- 『国際看護学』(医学書院)
- 『異文化看護』(南江堂)
- 『グローバルヘルス』(南山堂)
役立つウェブサイトとアプリ
情報収集や英語学習、キャリア形成に役立つウェブサイトやアプリとしては、以下のようなものがあります:
- 求人情報サイト
- All Cruise Jobs(www.allcruisejobs.com)
- Cruise Ship Jobs(www.cruiseshipjob.com)
- Cruise Job Finder(www.cruisejobfinder.com)
- 医療英語学習アプリ
- Medical English(医療英語専門のアプリ)
- Memrise(医療用語コース有り)
- Anki(医療英単語の暗記に最適)
- 船員生活に役立つアプリ
- Ship Mate(クルーズ情報アプリ)
- Marine Weather(海洋天気予報)
- WhatsApp(乗組員間のコミュニケーションに頻用)
- Time Buddy(時差管理に便利)
専門団体とネットワーク
シップナースのキャリア形成に役立つ専門団体やネットワークとしては、以下のようなものがあります:
- 国際看護師協会(International Council of Nurses)
- 国際的な看護師の団体で、グローバルな看護基準や情報を提供
- ウェブサイト:www.icn.ch
- クルーズラインズ国際協会(CLIA)
- クルーズ業界の国際団体で、業界動向や基準に関する情報を提供
- ウェブサイト:www.cruising.org
- シップナース専門のSNSグループ
- Facebook:「Cruise Ship Nurses International」
- LinkedIn:「Maritime Medical Professionals」
- 日本人シップナースの交流会
- 定期的に開催される情報交換会(オンラインミーティングを含む)
- 経験者のブログやSNSアカウント
これらのリソースを活用することで、シップナースとしての準備や実際の業務に役立つ知識やネットワークを構築することができます。
シップナースに関するよくある質問(FAQ)
シップナースを目指す方々からよく寄せられる質問について回答します。
採用と応募について
Q: 日本人でも採用されるチャンスはありますか? A: はい、あります。特に日本人乗客が多いクルーズラインでは、日本語が話せる医療スタッフの需要があります。ただし、英語力は必須条件です。
Q: 採用の年齢制限はありますか? A: 公式な年齢制限はない場合が多いですが、実際には25〜45歳くらいの方が多く採用されています。ただし、健康状態と経験が良好であれば、年齢よりも適性が重視される傾向にあります。
Q: どのくらいの頻度で求人がありますか? A: 季節によって変動しますが、大手クルーズ会社では不定期に求人があります。非常に稀ですが、情報収集はしておきましょう。
仕事内容と生活について
Q: 休日はありますか?どのように過ごせますか? A: 通常、週に1日の休日があります。寄港地では、勤務がなければ船を降りて観光することも可能です。ただし、緊急時には呼び出しに応じる必要があります。
Q: 船内での居住環境はどのようなものですか? A: 通常、シップナースには個室のキャビンが与えられます。設備はコンパクトですが、シャワー・トイレ付きで、基本的な生活には問題ありません。職位が上がるとキャビンのグレードも上がります。
Q: インターネット環境はどうなっていますか? A: 乗組員用のWi-Fiがありますが、帯域制限があることが多いです。SNSやメッセージのやり取りは可能ですが、大容量の動画視聴などは難しい場合があります。通常、乗組員割引料金で利用できます。
キャリアと資格について
Q: どのくらいの期間、シップナースとして働けますか? A: 個人差がありますが、2〜5年働く方が多いようです。10年以上のキャリアを積む方もいますが、ライフステージの変化に伴い陸上に戻る方も少なくありません。
Q: 船上での医療ミスなどが起こった場合の責任はどうなりますか? A: 船籍国の法律と船会社の規定に基づいて対応されます。多くの場合、船会社が医療スタッフ向けの専門保険に加入しています。正しい手順を踏んでいれば、個人が全責任を負うことはありません。
Q: 陸上の看護師に戻る際に不利になることはありますか? A: 必ずしも不利にはなりません。むしろ国際経験や緊急対応能力は評価されることが多いです。ただし、最新の医療技術や制度変更などについては、復帰時に学び直す必要がある場合があります。
シップナースの魅力と課題:総括と展望
最後に、シップナースというキャリアの魅力と課題を総括し、今後の展望について考えてみましょう。
シップナースの魅力まとめ
シップナースの主な魅力は以下のとおりです:
- グローバルな経験:世界中の国や地域を訪れながら働ける貴重な機会
- 専門スキルの向上:限られた環境での医療提供により、判断力や対応力が鍛えられる
- 異文化交流:様々な国籍のスタッフや乗客との交流で視野が広がる
- 経済的なメリット:生活費がほとんどかからず、貯金が可能
- ユニークなライフスタイル:通常の病院勤務とは全く異なる経験ができる
- 長期休暇:契約期間ごとにまとまった休暇が取れる
直面する現実的な課題
一方で、以下のような課題も存在します:
- 長期間の家族・友人との別離:孤独感や帰属意識の喪失を感じることも
- 体力的・精神的な負担:長時間勤務や不規則な生活リズムへの適応
- 文化的な衝突:異なる文化や価値観との調整が必要
- キャリアパスの不確実性:長期的なキャリア形成の計画が難しい場合も
- 技術の変化への対応:陸上での最新医療技術から遅れる可能性
今後の業界展望
クルーズ業界と船上医療は今後、以下のような方向に進化していくと考えられます:
- 医療設備の高度化:遠隔医療技術の発展により、陸上の専門医との連携が強化
- 感染症対策の強化:パンデミック後の新たな衛生基準と対応プロトコルの確立
- 高齢者向けクルーズの増加:高齢乗客に対応した専門的な医療ケアの需要拡大
- 持続可能なクルーズへの移行:環境に配慮した運航と健康管理の統合
- 多様性の促進:より多様な国籍や背景を持つ医療スタッフの採用増加
これらの変化に適応しながら、シップナースとしてのキャリアを発展させていくことが重要です。
まとめ:シップナースへの第一歩を踏み出すために
シップナースは、看護師としての専門性を活かしながら世界を旅することができる魅力的なキャリアです。この記事で解説してきたように、必要な資格や経験、英語力の準備、そして心構えを整えることで、豪華客船で働く夢を実現することができます。
世界各地を巡りながら、多様な患者に対応し、国際的な医療経験を積むことは、看護師としてだけでなく、一人の人間としても大きな成長をもたらすでしょう。
チャレンジには課題も伴いますが、綿密な準備と柔軟な姿勢があれば、それらを乗り越えることができます。この記事が、シップナースを目指す皆さんの一助となり、新たなキャリアへの第一歩を踏み出す勇気を与えられることを願っています。
世界の海で、あなたの看護スキルを活かす素晴らしい冒険が、きっと待っています。
高い年収が魅力のシップナース。
転職サイトで非公開案件で探すにもなかなか狭き門です。




