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看護師スキルを国際協力機関で活かす:JICA・NGO・赤十字社で世界に貢献する道

「国境を越えて医療に貢献したい」「看護スキルを国際舞台で活かしたい」「発展途上国の医療体制向上に関わりたい」—こんな思いを抱く看護師の方は少なくありません。世界では医療人材が不足している地域が多く、看護師の国際協力の機会は数多く存在します。JICA海外協力隊、日本赤十字社、国際NGO団体など、様々な組織が看護師の専門性を求めています。

この記事では、求人を探せるサイトの案内と国際協力分野で活躍したい看護師の方に向けて、主な活動団体、必要な資格、給与条件、応募方法、メリット・デメリットなどを詳しく解説します。海外での医療支援に興味がある方はぜひ参考にしてください。

国際協力分野で活躍する看護師の主な派遣元・雇用先

まずは看護師が国際協力活動に携わる主な団体や組織をご紹介します。それぞれ特性や活動内容が異なるため、自分の目標や価値観に合った団体を選ぶことが大切です。

JICA海外協力隊

JICA(国際協力機構)は日本の政府開発援助(ODA)を実施する機関で、JICA海外協力隊は途上国の現場で活動するボランティア事業です。以前は「青年海外協力隊」と「シニア海外ボランティア」に分かれていましたが、2018年に統合されました。

項目 詳細
活動形態 2年間の任期で途上国に派遣(短期派遣もあり)
活動内容(看護分野) 現地病院での看護技術指導、看護教育、地域保健活動など
主な派遣国 アジア、アフリカ、中南米、大洋州、中東などの約70カ国
特徴 日本政府による公的プログラムで安全管理体制が整っている。現地の人々と共に働き、生活する「草の根レベル」の国際協力

日本赤十字社(国際赤十字)

赤十字の国際活動には主に二つのルートがあります。一つは国際赤十字・赤新月社連盟を通じた開発協力や災害救援、もう一つは赤十字国際委員会(ICRC)を通じた紛争地域での人道支援です。

項目 詳細
活動形態 数か月~数年の任期で派遣(緊急時は短期派遣も)
活動内容(看護分野) 災害救援、紛争犠牲者の医療支援、保健医療体制の整備支援など
主な派遣地域 災害被災地、紛争地域、難民キャンプなど世界各地
特徴 緊急・人道支援に特化。医療チームの一員として専門性の高い活動を行う

国連機関・WHO

国連の専門機関であるWHO(世界保健機関)をはじめ、UNICEF(国連児童基金)、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)などの国連機関でも看護師が活躍しています。

項目 詳細
活動形態 職員採用、コンサルタント契約など様々
活動内容(看護分野) 保健政策立案、プロジェクト管理、技術アドバイザーなど
主な勤務地 本部(ジュネーブ、ニューヨークなど)、地域事務所、現地事務所
特徴 政策レベルの仕事が多く、高度な専門性と国際経験が求められる

国際NGO団体

医療・保健分野で活動する主な国際NGO団体には以下のようなものがあります。

団体名 主な活動内容 特徴
国境なき医師団(MSF) 紛争地域や災害地域での緊急医療支援 医療に特化した緊急人道支援。政治的中立性を重視
AMDA 自然災害や紛争地域での緊急医療支援、地域保健活動 日本発祥の国際医療NGO。アジアでの活動が多い
ワールド・ビジョン 子どもの健康・教育支援、地域開発 キリスト教系国際NGO。長期的な地域開発が特徴
セーブ・ザ・チルドレン 子どもの保健医療・教育支援 子どもの権利に焦点を当てた活動
ケア・インターナショナル 貧困削減、保健医療、女性支援 女性のエンパワーメントに力を入れている

日本の病院の海外拠点

近年は日本の医療機関が海外に拠点を設ける例も増えています。これらの海外拠点で看護師として働く機会もあります。

詳細
日本の大学病院の海外分院 発展途上国での医療技術移転、人材育成
日系医療機関 アジアの日系企業が多い都市での医療サービス提供
企業の医療分野の海外展開 日本の医療技術・サービスの海外展開支援

国際協力看護師に必要な資格と条件

国際協力分野で活動するには、看護師資格に加えて様々な要件が求められます。団体によって異なりますが、主な資格と条件をご紹介します。

基本的な資格要件

資格・条件 詳細
看護師免許 日本の看護師免許(有効なもの)
臨床経験 通常3年以上(団体により異なる)
語学力 英語(TOEIC 700点以上が目安)または活動国の言語
健康状態 海外での活動に支障のない健康状態であること
国籍 日本国籍(団体により異なる)

団体別の特殊要件

JICA海外協力隊

要件 詳細
年齢 20歳~45歳程度(上限は募集による)
臨床経験 看護師として3年以上の実務経験
応募資格 日本国籍を持つこと
語学力 英語またはフランス語、スペイン語などの基礎力(派遣前訓練あり)
その他 心身ともに健康であること、日本の文化や社会について説明できること

日本赤十字社国際要員

要件 詳細
臨床経験 看護師として5年以上(うち救急・外科など3年以上が望ましい)
語学力 英語(TOEIC 800点以上またはIELTS 6.5以上)
登録制度 国際医療救援要員登録制度への登録(研修あり)
所属条件 基本的に日本赤十字社の病院に勤務していること
その他 海外での生活に適応できること、ストレス耐性があること

国境なき医師団(MSF)

要件 詳細
臨床経験 看護師として最低2年以上(救急・ICU経験者優遇)
語学力 英語(流暢なレベル)、フランス語があれば尚可
派遣期間 最低6~9か月以上の派遣に対応できること
その他 厳しい環境での活動に対応できる精神的・身体的強さ

推奨される追加資格・スキル

国際協力分野での活動をより効果的にするために、以下のような追加資格やスキルがあると有利です。

資格・スキル メリット
保健師資格 地域保健活動で役立つ
助産師資格 母子保健活動で必須
熱帯医学・公衆衛生学の知識 途上国特有の疾病対策に必要
プロジェクトマネジメントスキル 事業運営で重要
異文化コミュニケーション能力 現地での関係構築に不可欠
緊急医療対応スキル 災害・紛争地域での活動に必要

国際協力看護師の給与・報酬と待遇

国際協力分野で働く看護師の給与や待遇は団体によって大きく異なります。ボランティアベースのものから、専門職としての正規雇用まで様々です。

主な団体の給与・手当体系

JICA海外協力隊

項目 詳細
基本的性質 ボランティア(無給)だが各種手当あり
現地生活費 派遣国の物価に応じた生活費(月額13万円~18万円程度)
住居 無償提供または住居手当支給
往復渡航費 日本-派遣国間の往復航空券支給
積立金 月額2万円程度(任期終了時に一括支給)
保険 海外旅行傷害保険加入(JICA負担)
同行家族 基本的に単身赴任(例外あり)

日本赤十字社国際要員

項目 詳細
基本給与 日本赤十字社職員としての給与体系に基づく
海外手当 派遣国・地域による危険手当あり
住居 基本的に提供または住居手当支給
保険 海外赴任保険加入(組織負担)
その他 帰国後のポジション保障(基本的に元のポジションに戻れる)

国際NGO(例:国境なき医師団)

項目 詳細
給与体系 国際スタッフとしての給与(経験や役割による)
給与水準 月額30万円~40万円程度(税引前、団体・役割により異なる)
住居 基本的に提供(共同生活の場合も多い)
渡航費 往復渡航費支給
保険 海外医療保険加入(組織負担)
休暇 任務中の休暇制度あり(長期ミッションの場合)

国連機関(例:WHO)

項目 詳細
給与体系 国際公務員としての給与体系(Pグレード)
給与水準 年間5万ドル~10万ドル以上(経験・ポジションによる)
諸手当 住居手当、教育手当、赴任手当など
福利厚生 国連年金基金、医療保険など充実
キャリアパス 長期的なキャリア形成が可能

給与面での比較と注意点

団体タイプ 給与水準 特徴・注意点
ボランティア型(JICA等) 低~中(生活維持レベル) キャリア中断のリスク。帰国後の就職支援あり
NGO型 中(日本の平均よりやや低い) 不安定な雇用形態の場合も。派遣終了後の雇用保証は少ない
国際機関型 中~高(日本の平均以上) 採用競争が激しい。長期的キャリア形成が可能
民間企業型 中~高(日本と同等か以上) 海外赴任手当などで優遇されることも多い

退職金・年金に関する注意点

国際協力活動に長期間従事する場合、日本の社会保障制度からの離脱期間が発生することがあります。以下の点に注意が必要です。

  • 国民年金の任意加入(海外在住期間中)
  • 厚生年金の空白期間発生可能性
  • 退職金の扱い(特にキャリア中断の場合)
  • 帰国後の雇用保障の有無

国際協力看護師の採用・応募プロセス

国際協力分野への転職を考える際の採用プロセスは団体によって異なります。主な団体の応募から採用までの流れをご紹介します。

JICA海外協力隊の場合

ステップ 内容 時期・期間
募集情報確認 JICAウェブサイトで募集要項確認 年2回(春・秋)募集
応募書類提出 オンライン応募フォーム記入 募集期間約1ヶ月
一次選考 書類審査、語学力テスト、適性検査 応募後約1ヶ月で結果通知
二次選考 技術面接、人物面接 一次選考後約1ヶ月
最終合格 派遣前訓練への招集 二次選考後約1ヶ月
派遣前訓練 語学・異文化理解・安全管理等(約70日間) 合格後約2~3ヶ月後に開始
派遣 任地への赴任 訓練終了後すぐ

日本赤十字社国際要員の場合

ステップ 内容 詳細
基礎要件 日赤病院での勤務 まずは日赤病院への就職が基本
国際医療救援研修センター研修 基礎研修(ERU研修など) 院内選考で受講者選定
国際医療救援要員登録 要員登録試験(語学・面接等) 研修修了後に受験可能
派遣候補者選考 派遣ミッションごとの選考 要員登録者から選考
派遣前研修 ミッション特有の研修・準備 派遣決定後に実施
派遣 任地への赴任 研修終了後すぐ

国際NGO(例:国境なき医師団)の場合

ステップ 内容 詳細
募集情報確認 ウェブサイトで募集要項確認 通年募集または随時募集
応募書類提出 オンライン応募、CV・志望動機等 英語での応募書類作成
書類選考 経験・スキルの評価 応募後2~4週間程度
面接選考 対面またはオンライン面接 複数回行われることも
内定・採用 条件交渉、契約締結 ミッションによって異なる
派遣前研修 安全管理、組織理解等 1~2週間程度
派遣 任地への赴任 研修終了後すぐ

応募時のポイントと注意点

ポイント 詳細
キャリアプランの明確化 なぜ国際協力を選ぶのか、将来どうしたいのかを明確にする
専門性のアピール 救急、感染症、母子保健など特定分野の専門性をアピール
語学力の証明 公式の語学スコア(TOEIC、IELTS等)を準備する
柔軟性・適応力のアピール 厳しい環境でも適応できる経験や姿勢をアピール
健康管理 予防接種歴の整理、持病の管理方法の確認

国際協力看護師のメリット・デメリット

国際協力分野で働くことには様々なメリットとデメリットがあります。キャリア選択の参考にしてください。

メリット

メリット 詳細
国際的な視野の獲得 多様な文化・価値観に触れることで視野が広がる
専門的スキルの向上 リソースが限られた環境での創意工夫により看護スキルが磨かれる
異文化コミュニケーション能力 言語や文化の壁を超えた人間関係構築能力が身につく
社会貢献の実感 直接的に人々の生活改善に貢献する実感を得られる
キャリアの差別化 帰国後のキャリアで国際経験が評価されることも多い
リーダーシップの発揮 現地スタッフの指導や困難な状況での意思決定力が鍛えられる
生涯の財産となる人脈 世界中に志を同じくする仲間ができる

デメリット

デメリット 詳細
キャリアの中断リスク 日本のキャリアパスから外れるリスク(特に長期派遣の場合)
収入面の不安定さ 団体によっては給与水準が低い、または不安定なことも
心身の健康リスク 感染症リスク、治安の悪さ、メンタルヘルスへの影響など
家族・人間関係への影響 家族との別離、日本の人間関係の維持が難しいことも
日本の医療から遠ざかる 最新の医療技術や制度から遅れる可能性がある
文化的摩擦・孤独感 言語や文化の違いによるストレス、孤独感を感じることも
帰国後の再適応 帰国後の日本社会への再適応が難しいことも(逆カルチャーショック)

実際の体験者の声

実際に国際協力看護師として活動した方々の声を紹介します。

活動形態 ポジティブな経験 チャレンジだった点
JICA海外協力隊(アフリカ) 「現地の看護師と共に成長できた」「自分の価値観が大きく変わった」 「言葉の壁に苦労した」「日本の常識が通用しないことへの戸惑い」
赤十字国際要員(災害派遣) 「チームで成し遂げる達成感」「専門性を直接活かせる喜び」 「厳しい環境での活動の身体的負担」「帰国後の通常業務への適応」
国連機関(東南アジア) 「政策レベルの変化を促せる影響力」「キャリアの幅が広がった」 「官僚的な組織文化」「目に見える成果までの時間の長さ」

国際協力看護師を目指す方へのアドバイス

国際協力分野でのキャリアを考えている看護師の方へ、経験者からのアドバイスをまとめました。

転職・応募前の準備

ステップ 具体的行動
情報収集 各団体のウェブサイト確認、説明会参加、経験者のブログ等で情報収集
専門性の強化 救急看護、感染症看護、母子保健など特定分野での経験を積む
語学力の強化 英語または活動地域の言語の習得(オンライン英会話等の活用)
国際保健の知識習得 国際保健や開発学の基本書籍を読む、公開講座に参加する
短期体験 休暇を利用した海外ボランティア、スタディツアーへの参加
国内での関連活動 在日外国人支援、難民支援などの国内活動に参加

キャリアプランの考え方

キャリアステージ 考慮すべきポイント
20代~30代前半 日本での基礎的臨床経験を積んだ上での挑戦。帰国後のキャリアも視野に入れる
30代後半~40代 専門性を活かした中期的関与。家族状況も考慮したキャリア選択
50代以降 豊富な経験を活かした指導者・アドバイザー的役割。ライフプランとの両立

活動先・団体選びのポイント

ポイント 考慮すべき点
自分の価値観との一致 団体の理念や活動方針が自分の価値観と合っているか
活動内容の専門性 自分の専門性が活かせる活動内容か
安全管理体制 十分な安全管理体制が整っているか
契約・雇用条件 給与・手当、保険、帰国後のサポート等の条件
活動期間の柔軟性 自分のライフプランに合った活動期間か

帰国後のキャリアへの影響

国際協力での経験を帰国後のキャリアにどう活かすかも重要なポイントです。

帰国後のキャリア 国際協力経験の活かし方
臨床現場に戻る グローバルな視点、多文化対応力を活かした看護実践
教育分野へ 国際看護学、国際保健学の教育者として経験を共有
国際関連部門へ 病院の国際部、医療ツーリズム部門などでの活躍
研究者として 国際保健・看護分野の研究者としてのキャリア
起業・NPO設立 自らの経験を基にした社会起業家としての道

主な国際協力団体一覧と特徴

看護師が活動できる主な国際協力団体について、さらに詳しくご紹介します。

政府系・公的機関

団体名 特徴・活動内容 看護師の主な役割 応募方法
JICA海外協力隊 政府ODAの一環として途上国の草の根レベルで活動 病院・クリニックでの技術指導、看護教育、地域保健活動 JICAウェブサイトから応募(年2回)
外務省専門調査員 在外公館での専門的調査活動 保健医療分野の調査・情報収集・分析 外務省ウェブサイトから応募
JICA専門家 特定分野の技術協力プロジェクト プロジェクトの専門家として技術指導・助言 JICAウェブサイトから公募案件に応募

国際機関

団体名 特徴・活動内容 看護師の主な役割 応募方法
WHO(世界保健機関) 国連の専門機関として国際保健を推進 技術アドバイザー、プログラムオフィサー WHOウェブサイトからオンライン応募
UNICEF(国連児童基金) 子どもの権利保護と健康・教育支援 保健プログラムオフィサー、アドバイザー UNICEFウェブサイトからオンライン応募
UNFPA(国連人口基金) リプロダクティブヘルスの推進 リプロヘルス専門家、母子保健アドバイザー UNFPAウェブサイトからオンライン応募
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所) 難民保護と支援 難民キャンプでの保健医療コーディネーター UNHCRウェブサイトからオンライン応募

赤十字関連

団体名 特徴・活動内容 看護師の主な役割 応募方法
日本赤十字社 国際救援・開発協力活動を実施 国際医療救援要員として災害・紛争地での医療活動 日赤病院に就職後、国際救援要員登録制度に登録
赤十字国際委員会(ICRC) 紛争地での人道的保護・支援活動 戦傷外科看護、捕虜・被拘束者医療支援 通常は日本赤十字社を通じて派遣
国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC) 各国赤十字社の連携・調整、災害救援 災害救援チームの看護師、保健事業担当者 通常は日本赤十字社を通じて派遣

国際NGO

団体名 特徴・活動内容 看護師の主な役割 応募方法
国境なき医師団(MSF) 紛争・災害地域での緊急医療援助 外科・小児・感染症看護、医療活動管理 MSF日本ウェブサイトから応募(随時)
AMDA 緊急人道支援、保健医療協力 緊急医療チームの看護師、保健指導 AMDAウェブサイトから応募
ピースウィンズ・ジャパン 緊急・人道支援、復興支援 医療チームの看護師、保健衛生指導 ウェブサイトから募集時に応募
ジョイセフ(JOICFP) 家族計画、母子保健活動 リプロダクティブヘルスの専門家、研修講師 ウェブサイトから募集時に応募
シェア=国際保健協力市民の会 地域に根差した保健医療活動 保健プロジェクトスタッフ、研修講師 ウェブサイトから募集時に応募

民間企業・その他

団体名 特徴・活動内容 看護師の主な役割 応募方法
医療系コンサルティング企業 海外医療施設整備、人材育成支援 コンサルタント、研修講師 各企業の採用情報をチェック
日系病院の海外展開 アジアでの日本式医療の展開 臨床看護師、看護管理者、教育担当 各法人の採用情報をチェック
テルモ生命科学財団など 国際医療人材育成プログラム 研修生、研修講師 各財団のプログラム情報をチェック

国際協力看護師の実際の活動事例

国際協力で活躍する看護師の具体的な活動内容をいくつか紹介します。

ケーススタディ:JICA海外協力隊(タンザニア派遣)の看護師

活動場所 活動内容 成果と課題
地方病院 • 現地看護師への基礎看護技術指導
• 院内感染対策の改善
• 患者向け健康教育の実施
• 手洗い遵守率の向上
• 基礎看護記録の改善
• 限られた資源の中での創意工夫

活動の様子: 「物資が限られた環境でも、基本的な看護ケアを大切にする姿勢を共有することを重視しました。例えば、患者さんへの声かけや体位変換など、お金をかけずにできる看護ケアを一緒に実践することで、少しずつ現地スタッフの意識が変わっていきました。」

ケーススタディ:日本赤十字社国際要員(災害救援)の看護師

活動場所 活動内容 成果と課題
自然災害被災地 • 仮設診療所での緊急医療提供
• トリアージと救急処置
• 衛生環境の整備と指導
• 迅速な医療チーム展開
• 現地医療機関との連携
• 限られた期間での活動終了と引継ぎ

活動の様子: 「災害発生から72時間以内に現地入りし、まず医療ニーズの把握と仮設診療所の設営を行いました。最初の数日は24時間体制での診療となり、体力的にも精神的にも厳しい状況でしたが、チーム全員で声を掛け合いながら乗り越えました。現地の医療スタッフと協力して活動することで、引継ぎもスムーズに行うことができました。」

ケーススタディ:国際NGO(南スーダン)の看護師

活動場所 活動内容 成果と課題
紛争地域の病院 • 戦傷外科看護
• 看護スタッフ育成
• 薬剤・物資管理
• 限られた資源での救命率向上
• 文化・言語の壁
• 安全面での制約

活動の様子: 「紛争による負傷者が次々と運ばれてくる環境での医療活動は、日本では経験できない緊張感がありました。特に印象的だったのは、現地スタッフの学ぶ意欲の高さです。正式な看護教育を受けていないスタッフも多いですが、実践を通じた教育を積み重ねることで、徐々に現地だけで対応できるケースが増えていきました。」

国際協力を目指す看護師のためのQ&A

国際協力を目指す看護師からよく寄せられる質問と回答をまとめました。

キャリア形成に関する質問

質問 回答
Q: 国際協力に興味がありますが、まず何から始めればよいですか? A: まずは臨床経験を3〜5年程度積むことをお勧めします。並行して語学学習や国際保健に関する知識を身につけ、休暇を利用した短期ボランティアなどで海外経験を積むと良いでしょう。各団体の説明会や元派遣者との交流の機会も積極的に活用してください。
Q: どのような臨床経験が国際協力で役立ちますか? A: 救急・ICU・外科などの急性期医療の経験は災害・紛争地での活動に役立ちます。また、母子保健、感染症看護、地域看護の経験も開発協力では重宝されます。様々な状況に対応できる総合的な看護能力と臨機応変な対応力が大切です。
Q: 語学力はどの程度必要ですか? A: 英語はTOEIC 700点以上、IELTS 6.0以上が一つの目安です。ただし団体によって要求レベルは異なります。また、活動地域の言語(フランス語、スペイン語、アラビア語など)ができると非常に有利です。コミュニケーションの意欲と柔軟性も重要です。

実務的な質問

質問 回答
Q: 海外での活動中、日本の看護師免許は維持できますか? A: 日本の看護師免許の更新制度はないため、海外にいても資格自体は維持されます。ただし、長期間日本を離れる場合は、最新の医療情報や技術から遅れる可能性があるため、帰国後の再教育が必要になることもあります。
Q: 安全面で不安がありますが、どのような対策がありますか? A: 各団体は安全管理ガイドラインを設け、危険度に応じた行動制限や安全対策を実施しています。例えばJICAでは24時間体制の安全デスクがあり、緊急時の避難計画も策定されています。ただし、活動地域の情勢を自分でも常に把握し、自己防衛意識を持つことが大切です。
Q: 家族(子ども・配偶者)と一緒に活動することは可能ですか? A: 団体や派遣形態によって異なります。JICA海外協力隊では原則単身赴任ですが、一部例外もあります。国連機関や一部NGOでは家族帯同が認められるケースもありますが、子どもの教育環境や配偶者の就労機会など、様々な課題があることは認識しておく必要があります。

生活・待遇に関する質問

質問 回答
Q: 国際協力の仕事で将来的な経済的不安はありませんか? A: 短期的には民間企業と比較して給与が低いケースもありますが、国連機関など一部の組織では高待遇のポジションもあります。長期的なキャリアプランとして、国際経験を活かせる次のステップ(国際機関、教育機関、民間企業の国際部門など)も視野に入れることをお勧めします。
Q: 帰国後の就職は不利になりませんか? A: 国際経験を評価する職場も増えており、グローバル人材として優遇されるケースもあります。特に国際部門や外国人患者受入れに力を入れている医療機関、教育機関では国際経験が強みになります。ただし、日本の最新医療技術からの遅れを懸念される場合もあるため、帰国後の再学習の姿勢も大切です。
Q: 途上国での生活環境はどうですか? A: 派遣先によって大きく異なります。首都や大都市では一定の生活水準が確保されていますが、地方や紛争地では電気・水道・インターネットなどのインフラが不安定なことも少なくありません。文化や食習慣の違いへの適応も必要です。ストレス管理の方法や自分なりのリラックス法を持っておくことが重要です。

国際協力看護師のためのリソースとネットワーク

国際協力を目指す看護師のために役立つ情報源やネットワークをご紹介します。

情報収集のためのウェブサイト

サイト名 URL 主な情報
JICA www.jica.go.jp JICA海外協力隊募集情報、国際協力キャリア情報
外務省 国際機関人事センター www.mofa-irc.go.jp 国際機関の求人情報、JPO制度の案内
PARTNER(国際協力キャリア総合情報サイト) partner.jica.go.jp 国際協力関連の求人・研修・イベント情報
ReliefWeb reliefweb.int 国際人道支援分野の求人・報告書・ニュース
NGO-JANIC www.janic.org 日本のNGO情報・求人情報

学びを深めるための教育機関・プログラム

教育機関/プログラム 特徴
国立国際医療研究センター 国際医療協力局 研修 国際保健医療協力に関する各種研修プログラム
JICA課題別研修 特定分野の国際協力に関する研修
大学院 国際保健学・国際看護学専攻 東京大学、長崎大学、聖路加国際大学などの専門コース
熱帯医学研修課程 長崎大学熱帯医学研究所などによる研修

ネットワーキングの機会

機会 内容
国際保健医療学会 年次学術大会、地方会、若手の会など
グローバルヘルス・カフェ 国際保健医療関係者の交流会(各地で開催)
JICA海外協力隊経験者の会 各都道府県にある帰国隊員の会
各NGOの報告会・交流会 活動報告会や支援者向けイベント

おすすめ書籍・資料

書籍/資料名 著者/出版社 内容
国際看護学 日本看護協会出版会 国際看護の基礎知識と実践
国際協力師になるには 村上由美子/ぺりかん社 国際協力のキャリアパス紹介
国際保健医療のキャリアナビ 中村安秀 他/南山堂 国際保健医療分野でのキャリア形成ガイド
海外赴任ハンドブック 外務省領事局 海外生活の安全対策・健康管理

まとめ:国際協力看護師として活躍するために

国際協力分野で看護師として活躍するためのポイントをまとめます。

成功への道筋

  1. 基礎固め:
    • 日本での確かな臨床経験を積む(3〜5年程度)
    • 語学力の強化(英語+活動地域の言語)
    • 国際保健・開発学の基礎知識習得
  2. 経験の段階的拡大:
    • 国内での外国人患者対応、在日難民支援などで異文化対応力を養う
    • 休暇を利用した短期海外ボランティアで経験を積む
    • 各団体のセミナー・説明会に参加し、情報収集とネットワーク構築
  3. 専門性の確立:
    • 特定分野での専門性を高める(救急看護、感染症看護、母子保健など)
    • 関連資格の取得(保健師、助産師、認定・専門看護師など)
    • 語学力の証明(TOEIC、IELTSなど)
  4. キャリアとライフプランの統合:
    • 短期・中期・長期のキャリアビジョンを描く
    • 家族・パートナーとの関係、ライフイベントを考慮した計画
    • 帰国後のキャリアも視野に入れた準備

最後に

国際協力看護師としての道は、やりがいと挑戦に満ちています。困難な環境の中でも、看護の力で人々の健康と尊厳を守る活動は、かけがえのない経験となるでしょう。

ただし、美化された理想像だけでなく、現実的な課題や困難も理解した上で、自分に合った形での国際貢献の道を探ることが大切です。国際協力は「行く・行かない」の二択ではなく、様々な関わり方があります。日本にいながらできる国際協力や、短期・中期・長期など様々な期間の選択肢もあります。

あなたの看護師としてのスキルと情熱は、世界中で必要とされています。自分らしい国際協力の形を見つけ、看護の力で世界をより健康で平和な場所にするために貢献してください。

 

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