「地域の健康を支える仕事がしたい」「予防医療に関わりたい」と考えている看護師や医療職を目指す学生の方々にとって、保健師は魅力的な選択肢の一つです。しかし、保健師の具体的な仕事内容や年収、勤務先の選択肢、そして資格取得方法について、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。

この記事では、求人を探せるサイトの案内と保健師を目指す方や転職を考えている看護師の方に向けて、保健師の仕事内容や必要な資格、年収の実態、勤務先ごとの特徴とメリット・デメリットなどを詳しく解説します。保健師としてのキャリアを考える際の参考にしていただければ幸いです。
保健師とは?基本的な仕事内容と役割
保健師は、地域や職域などで人々の健康の保持・増進を目的に活動する医療専門職です。疾病の予防や健康教育など、予防的アプローチを中心とした公衆衛生活動の専門家として、幅広い役割を担っています。
保健師の主な業務内容
保健師の仕事は多岐にわたりますが、主な業務内容は以下の通りです:
| 業務カテゴリー | 具体的な内容 |
|---|---|
| 健康診査・検診 | ・乳幼児健診の実施 ・成人健診の実施と結果説明 ・特定健診・特定保健指導 |
| 健康教育・相談 | ・母親学級や両親学級の開催 ・生活習慣病予防教室の運営 ・こころの健康相談 |
| 家庭訪問 | ・新生児・乳幼児訪問 ・高齢者訪問 ・精神疾患患者の訪問支援 |
| 感染症対策 | ・予防接種の推進 ・感染症発生時の調査・対応 ・感染予防の啓発活動 |
| 地域保健活動 | ・地域診断と健康課題の抽出 ・健康づくり計画の立案・実施・評価 ・地域組織活動の育成・支援 |
| 災害時の活動 | ・避難所の健康管理 ・要支援者の把握と支援 ・心のケア |
看護師と保健師の違い
保健師と看護師は似ている部分もありますが、いくつかの重要な違いがあります:
| 比較項目 | 保健師 | 看護師 |
|---|---|---|
| 対象者 | 個人・家族・集団・地域全体 | 主に個人(患者) |
| 活動の場 | 地域・企業・学校など | 主に医療機関 |
| 予防の段階 | 一次予防(健康増進・疾病予防)中心 | 二次予防(早期発見・治療)・三次予防(リハビリ)中心 |
| 支援の継続性 | 長期的・継続的 | 入院中や通院期間中心 |
| アプローチ | 公衆衛生学的視点 | 医学的・看護学的視点 |
| 業務の自律性 | 比較的高い | 医師の指示のもとで行う業務も多い |
保健師の大きな特徴は、「個人」だけでなく「集団・地域全体」を対象とした活動を行う点です。また、病気になってからの治療よりも、病気にならないための予防活動に重点を置いています。
保健師になるための道のり:資格と教育
保健師になるためには、特定の教育課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。具体的な流れと選択肢を見ていきましょう。
保健師資格の取得ルート
保健師になるための主なルートは以下の通りです:
| ルート | 内容 | 期間 |
|---|---|---|
| 看護系大学の保健師課程 | 看護師と保健師の教育を統合的に学ぶ | 4年間 |
| 看護系大学の選択制 | 看護師課程を基本とし、希望者が保健師課程も履修 | 4年間 |
| 大学院修士課程 | 看護師資格取得後、大学院で保健師課程を学ぶ | 2年間 |
| 専修学校専門課程 | 看護師資格取得後、専攻科で保健師課程を学ぶ | 1年間 |
2011年度のカリキュラム改正により、看護系大学でも保健師課程が必修ではなく選択制になった大学が増えています。そのため、保健師を目指す場合は、入学前に大学のカリキュラムを確認することが重要です。
保健師国家試験について
保健師国家試験は年1回実施され、以下のような特徴があります:
- 試験科目:公衆衛生看護学、疫学、保健統計学、保健福祉行政論など
- 出題形式:マークシート方式(五肢択一形式が中心)
- 出題数:合計約100問
- 合格基準:例年60%前後の正答率
- 合格率:例年85%〜95%程度
看護師国家試験と同時期に実施されるため、大学で看護師・保健師の両方の課程を履修している場合は、2つの国家試験対策を並行して行う必要があります。
保健師に向いている人の特性と適性
保健師として活躍するためには、以下のような特性や資質が役立ちます:
| 求められる特性 | 具体的内容 |
|---|---|
| コミュニケーション能力 | 様々な年代・状況の人と関わり、信頼関係を築く力 |
| 観察力・分析力 | 地域の健康課題を把握し、必要な支援を見極める力 |
| 企画力・実行力 | 健康教育や保健事業を企画・運営する力 |
| 自己管理能力 | 自律的に業務を進める力 |
| 柔軟性・創造性 | 個々の状況に合わせた対応や新しい取り組みを生み出す力 |
| 調整力 | 様々な関係機関・専門職と連携・協働する力 |
保健師は、地域の中で比較的独立して活動することも多いため、自分で考え行動できる主体性や、多職種と協働するための調整力が特に重要です。また、予防活動は即効性のある成果が見えにくいこともあるため、長期的な視点で取り組める忍耐力も大切です。
保健師の勤務先と特徴

保健師の活躍の場は多様化しており、それぞれの勤務先によって業務内容や特徴が異なります。主な勤務先とその特徴を見ていきましょう。
主な勤務先と業務内容
| 勤務先 | 主な業務内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 市区町村保健センター | ・母子保健(乳幼児健診等) ・成人保健(特定健診等) ・高齢者保健 ・精神保健 ・感染症対策 |
・地域住民全般を対象 ・幅広い健康課題に対応 ・行政職としての役割も |
| 保健所 | ・感染症対策 ・難病対策 ・精神保健 ・食品衛生 ・環境衛生 |
・より専門的な対応 ・広域的な活動 ・危機管理的役割 |
| 企業(産業保健) | ・健康診断の実施と事後指導 ・メンタルヘルス対策 ・健康教育 ・職場環境改善 |
・働く人々の健康管理 ・生産性向上への貢献 ・福利厚生の一環 |
| 学校(学校保健) | ・健康診断の実施と事後指導 ・保健教育 ・健康相談 ・環境衛生管理 |
・児童・生徒の健康管理 ・教育的視点の重視 ・学校行事との連携 |
| 病院・診療所 | ・訪問看護 ・地域連携 ・退院支援 ・健康管理 |
・医療との連携が密接 ・継続看護の実践 ・予防と治療の橋渡し |
| 健康保険組合 | ・特定健診・特定保健指導 ・健康増進事業 ・データヘルス計画 |
・保険者機能の一環 ・医療費適正化 ・健康経営の支援 |
勤務先ごとのメリット・デメリット
それぞれの勤務先には、特有のメリットとデメリットがあります:
市区町村・保健所(行政機関)
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・安定した雇用条件 ・福利厚生が充実 ・地域全体に関わる醍醐味 ・長期的な支援が可能 |
・異動が定期的にある ・事務作業が多い ・行政の仕組みや制約がある ・変化のスピードが遅い |
企業(産業保健)
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・給与水準が比較的高い ・定時退社しやすい ・特定集団への専門的支援 ・成果が見えやすい |
・企業方針の影響を受ける ・1人職場の場合も多い ・企業優先になることも ・業績悪化時にポジションリスク |
学校(学校保健)
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・長期休暇がある ・子どもの成長に関わる喜び ・教育的役割の充実感 ・学校全体の健康づくり |
・養護教諭資格が別途必要なことが多い ・急な対応も多い ・教職員との調整力が必要 ・保護者対応の難しさ |
病院・診療所
| メリット | デメリット |
|---|---|
| ・医療チームとの連携 ・臨床と予防の両方に関わる ・看護スキルを活かせる ・情報アクセスが良い |
・診療補助業務が中心になることも ・保健師本来の業務範囲が限られる ・地域全体への視点が持ちにくい |
勤務先選びの際は、自分の興味・関心や大切にしたい働き方に合わせて選ぶことが重要です。また、キャリアの途中で異なる分野へ移ることも可能なので、長期的な視点で考えることをおすすめします。
保健師の年収・給料の実態
保健師の給料体系や年収は、勤務先や経験年数、地域などによって異なります。一般的な傾向を見ていきましょう。
保健師の平均年収
保健師の平均年収は、おおよそ450万円〜550万円程度とされています。ただし、以下の要因によって大きく変動します:
| 勤務先 | 年収の目安(経験によって変動) |
|---|---|
| 行政機関(市区町村・保健所) | 400万円〜600万円 |
| 企業(産業保健) | 500万円〜700万円 |
| 健康保険組合 | 450万円〜650万円 |
| 学校(養護教諭) | 400万円〜650万円 |
| 病院・診療所 | 400万円〜550万円 |
給料に影響する要素
保健師の給料は、以下の要素によって左右されます:
| 影響要素 | 具体例 |
|---|---|
| 勤務先の種類 | 一般的に、企業>行政機関>医療機関 |
| 経験年数 | 経験を積むほど昇給する傾向 |
| 役職 | 管理職になると大幅に増加 |
| 地域差 | 都市部>地方(一般的傾向) |
| 雇用形態 | 正規>非正規 |
| 追加資格 | 専門性を高める資格で優遇の可能性 |
看護師との年収比較
保健師と看護師の年収を比較すると、一般的には以下のような傾向があります:
| 経験年数 | 保健師(行政) | 保健師(企業) | 看護師(病院) |
|---|---|---|---|
| 1〜3年目 | 350〜400万円 | 400〜500万円 | 350〜450万円 |
| 5〜10年目 | 400〜500万円 | 500〜600万円 | 450〜550万円 |
| 10年以上 | 500〜600万円 | 550〜700万円 | 500〜650万円 |
勤務先や条件によって大きく変わりますが、企業の保健師は看護師より高い傾向がある一方、行政機関の保健師は看護師と同程度か、場合によってはやや低いこともあります。ただし、行政機関は福利厚生が充実していたり、夜勤がないなどの利点があります。
保健師のメリットとデメリット

保健師という職業を選ぶ際に考慮すべきメリットとデメリットを整理しました。キャリア選択の参考にしてください。
保健師のメリット
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 規則的な勤務形態 | ・夜勤がない(基本的に日勤のみ) ・土日祝休み(行政機関の場合) ・ワークライフバランスを取りやすい |
| 予防的アプローチの実践 | ・病気になる前の支援ができる ・健康づくりの喜びを共有できる ・長期的な視点での支援が可能 |
| 自律性の高い業務 | ・主体的に業務を計画・実施できる ・創意工夫の余地が大きい ・自分のペースで活動できる場面も多い |
| 地域・組織への広い関わり | ・多様な人々との出会い ・社会全体の健康に貢献する実感 ・地域づくりに関われる |
| 専門性の高さ | ・公衆衛生の専門家としての立場 ・政策立案にも関われる可能性 ・社会的意義のある仕事 |
保健師のデメリット
| デメリット | 詳細 |
|---|---|
| 成果が見えにくい | ・予防活動は即効性がない ・長期的な評価が必要 ・達成感を得るまで時間がかかる |
| 事務作業の多さ | ・書類作成や事務処理が多い ・特に行政機関では事務量が多い ・直接的なケア提供の時間が限られる |
| 範囲の広さによる難しさ | ・様々な健康課題に対応する必要がある ・幅広い知識が求められる ・専門性の深化が難しいこともある |
| 人間関係の複雑さ | ・多職種との連携が必須 ・組織や地域の力学への対応 ・調整役としての難しさ |
| 臨床スキルの低下 | ・看護技術を使う機会が少ない ・医療の最新情報から遠ざかることも ・臨床へ戻る際のギャップ |
保健師に向いている人・向いていない人
| 保健師に向いている人 | 保健師に向いていない人 |
|---|---|
| 予防活動に関心がある人 | 即時的な成果や反応を求める人 |
| 地域や集団へのアプローチに興味がある人 | 個別の患者ケアに専念したい人 |
| コミュニケーションや調整が得意な人 | 事務作業や調整業務が苦手な人 |
| 長期的な視点で物事を考えられる人 | 臨床看護技術を多く使いたい人 |
| 自己管理能力が高い人 | 指示を受けて動く方が安心な人 |
| 企画力・実行力のある人 | 業務範囲が明確に定まっている方が良い人 |
保健師から考えるキャリアパス
保健師資格を取得した後のキャリアパスには、様々な選択肢があります。自分の適性や志向性に合わせたキャリア形成を考えてみましょう。
保健師としてのキャリアアップ
保健師として長く活躍する場合のキャリアパスは以下のようなものがあります:
| キャリアパス | 内容 | 必要なスキル・資質 |
|---|---|---|
| 管理職への道 | ・係長→課長→部長と行政職としてのキャリアアップ ・保健師長→総括保健師など専門職としての管理職 |
・リーダーシップ ・マネジメント力 ・政策立案能力 |
| 専門分野の深化 | ・母子保健、精神保健など特定分野の専門家 ・専門看護師・認定看護師などの資格取得 |
・専門知識の習得 ・研究的視点 ・実績の蓄積 |
| 教育・研究職 | ・大学などでの保健師教育 ・保健師現任教育 ・公衆衛生研究 |
・教育能力 ・研究手法の習得 ・学位取得(修士・博士) |
| 国際保健活動 | ・JICA等での国際協力 ・WHO等の国際機関 ・NGOでの活動 |
・語学力 ・異文化適応能力 ・国際的視野 |
| 政策立案者 | ・厚生労働省など中央官庁 ・シンクタンク ・政策アドバイザー |
・政策立案能力 ・データ分析力 ・広い視野 |
他職種へのキャリアチェンジの可能性
保健師の経験を活かして、以下のような職種への転身も可能です:
| 転身先職種 | 保健師経験の活かし方 | 必要な追加スキル・資格 |
|---|---|---|
| 養護教諭 | ・健康教育の経験 ・発達段階の理解 |
・養護教諭免許 ・教育的視点 |
| ケアマネージャー | ・地域資源の知識 ・多職種連携の経験 |
・介護支援専門員資格 ・介護保険制度の理解 |
| 医療ソーシャルワーカー | ・社会資源の知識 ・相談支援の経験 |
・社会福祉士資格(理想的) ・医療制度の理解 |
| 健康経営アドバイザー | ・健康管理の知識 ・保健指導の経験 |
・経営的視点 ・データ分析スキル |
| 非営利団体(NPO) | ・地域活動の経験 ・ネットワーク構築力 |
・組織運営スキル ・資金調達能力 |
保健師としての経験は、様々な分野で活かすことができます。特に、予防的視点や地域連携の経験、健康教育のスキルなどは、多くの職種で重宝される専門性です。
保健師の転職:成功のポイントと求人の探し方
保健師としてのキャリアチェンジを考える際の、転職のポイントや求人の探し方について解説します。
転職前にチェックすべきポイント
転職を検討する際は、以下の点を整理しておくことが大切です:
| チェックポイント | 具体的な確認内容 |
|---|---|
| 転職の目的 | ・なぜ転職したいのか ・転職で何を得たいのか |
| 希望条件の整理 | ・勤務先の種類(行政・企業・医療機関等) ・給与水準 ・勤務地 ・業務内容 ・勤務時間・休日 |
| 自分のスキル・強み | ・保健師としての専門性 ・これまでの業務経験 ・特に深めてきた分野 ・アピールポイント |
| 情報収集 | ・希望する勤務先の実態 ・必要な追加スキル ・転職市場の動向 |
保健師求人の探し方
保健師の求人情報を得るには、以下のような方法があります:
| 情報源 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 保健師専門の転職サイト | ・保健師に特化した求人 ・専門知識を持ったコンサルタント ・非公開求人あり |
・効率的に探したい人 ・転職のアドバイスが欲しい人 |
| 看護師向け転職サイト | ・求人数が多い ・看護職全般の転職サポート ・転職市場の広い情報 |
・選択肢を広く持ちたい人 ・看護師職も視野に入れている人 |
| 公務員試験情報 | ・行政機関の保健師募集 ・自治体のHPや広報 ・試験情報 |
・行政機関を志望する人 ・安定した勤務条件を重視する人 |
| ハローワーク | ・幅広い求人情報 ・無料でのサポート ・地域密着型の情報 |
・地元での就職を希望する人 ・じっくり探したい人 |
| 人脈・ネットワーク | ・口コミ情報 ・内部の実情がわかる ・推薦の可能性 |
・人とのつながりがある人 ・実態を詳しく知りたい人 |
転職エージェントの活用法
転職エージェントを賢く活用するためのポイントは以下の通りです:
- 複数のエージェントを比較する
- 保健師専門と看護師全般の両方を活用
- それぞれの得意分野を見極める
- 担当者との相性も重要
- 具体的な希望を伝える
- 勤務先の種類、業務内容、条件など
- 譲れない条件と妥協できる条件を明確に
- キャリアプランも共有する
- 情報収集の場として活用する
- 市場価値や求人動向を確認
- 各勤務先の実情や雰囲気
- 転職に必要なスキルや準備
- 面接対策・条件交渉を依頼する
- 保健師特有のアピールポイント
- 志望動機の整理
- 給与や勤務条件の交渉
特に保健師の場合、勤務先ごとに求められる経験やスキルが異なるため、各分野に詳しい転職エージェントのアドバイスは貴重です。行政機関を志望する場合は公務員試験情報にも注目し、企業を志望する場合は産業保健に強いエージェントを選ぶなど、戦略的な活用がおすすめです。
保健師の転職事例
実際の保健師の転職例をいくつか紹介します:
事例1:病院看護師から市町村保健師へ
背景:夜勤のある病院勤務から、ワークライフバランスを重視して転職
転職方法:公務員試験を受験
成功ポイント:地域活動の経験をアピール、保健師の役割への理解を深めていた
アドバイス:公務員試験対策は早めに始める、保健師活動への理解を深めておく
事例2:行政保健師から企業保健師へ
背景:より専門的な健康管理活動がしたい、給与アップを希望
転職方法:保健師専門の転職エージェント
成功ポイント:特定保健指導の実績、データ分析スキルのアピール
アドバイス:企業のニーズ(メンタルヘルス対策、健康経営など)を理解する
事例3:新卒で保健師になり、大学院へ進学後、教育職へ
背景:現場での疑問を研究したい、後進の育成に関わりたい
転職方法:大学院進学後、教員公募に応募
成功ポイント:実践経験と研究実績の両立、学会活動への積極参加
アドバイス:現場経験を重ねながら研究的視点も持つ、学位取得を計画的に
事例4:市町村保健師から健康保険組合へ
背景:特定保健指導やデータヘルスに興味、事務仕事の負担軽減を希望
転職方法:知人の紹介と直接応募
成功ポイント:特定保健指導の実績、データ分析への関心
アドバイス:医療保険制度やデータヘルス計画への理解を深める
これらの事例からわかるように、保健師のキャリアは多様であり、それぞれの興味や強みを活かした転職が可能です。重要なのは、自分の志向性を明確にし、必要なスキルや知識を計画的に身につけていくことです。
保健師の最新動向と将来性

社会状況や健康課題の変化に伴い、保健師の役割や需要も変化しています。最新の動向と将来性について見ていきましょう。
保健師の役割拡大と専門性の深化
近年、保健師の役割は拡大し、より高度な専門性が求められる傾向にあります:
| 新たな役割・分野 | 求められるスキル・知識 |
|---|---|
| データヘルス | ・健康データの分析力 ・エビデンスに基づく施策立案 ・ICTリテラシー |
| 健康経営支援 | ・経営的視点 ・費用対効果の算出 ・プレゼンテーション能力 |
| 災害時保健活動 | ・危機管理能力 ・DHEAT(災害時健康危機管理支援チーム)の知識 ・レジリエンス |
| グローバルヘルス | ・語学力 ・文化的感受性 ・国際保健の知識 |
| 地域共生社会の実現 | ・多職種連携能力 ・地域マネジメント力 ・包括的支援の視点 |
保健師の活動は、従来の「保健」の枠を超えて、福祉・医療・教育・産業など多分野との連携が求められています。また、予防医療の重要性が高まる中、保健師の専門性はますます注目されています。
社会的ニーズの変化と保健師へのニーズ
社会情勢や健康課題の変化に伴い、保健師へのニーズも変化しています:
| 社会的背景 | 保健師へのニーズ |
|---|---|
| 少子高齢化 | ・高齢者の健康維持・介護予防 ・子育て世代への手厚い支援 |
| メンタルヘルス問題の増加 | ・職場のメンタルヘルス対策 ・自殺予防やひきこもり支援 |
| 健康格差の拡大 | ・健康弱者へのアウト |
| 健康格差の拡大 | ・健康弱者へのアウトリーチ ・社会的決定要因への介入 |
| 感染症対策の重要性 | ・新興感染症への対応 ・平時からの準備と連携体制構築 |
| 医療費適正化の要請 | ・予防的介入による医療費削減 ・効果的な保健事業の立案・評価 |
| 働き方改革 | ・快適な職場環境づくり ・ワークライフバランス支援 |
これらの社会的ニーズに応えるため、保健師には従来の知識・技術に加え、新たな視点やスキルの習得が求められています。特に、デジタル技術の活用やエビデンスに基づく実践(EBP)の重要性が増しています。
保健師の将来展望
保健師の将来について、いくつかの展望があります:
- 保健師の需要の安定性
- 予防医療の重視により需要は安定的
- 特に企業や健保組合での需要拡大
- 医療費削減ニーズから予防的介入の重要性増加
- 専門性の高度化
- 特定分野の専門保健師の増加
- 公衆衛生看護専門看護師などの新資格
- エビデンスに基づく実践の普及
- 活動分野の多様化
- 従来の行政・企業から多様な分野へ
- ICT活用による遠隔保健指導など新展開
- コンサルタントなど新たな働き方の拡大
- 教育の変化
- 大学院レベルの高度教育の拡充
- 実践力と研究力の両方を備えた人材育成
- 継続教育の充実
保健師は今後も、人々の健康を支える専門職として重要な役割を担い続けるでしょう。ただし、時代のニーズに合わせて役割や活動スタイルは変化していくと思われます。柔軟な対応力と自己研鑽の姿勢が、これからの保健師に特に求められるでしょう。
保健師を目指す方・保健師として働く方へのアドバイス
最後に、保健師を目指す方や、すでに保健師として働いている方へのアドバイスをまとめます。
保健師を目指す学生・看護師の方へ
保健師を志望する方は、以下のポイントを参考にしてください:
- 実習や現場体験を大切に
- 保健師の実習は貴重な機会なので、積極的に質問や関わりを
- 可能であれば、インターンシップやボランティア活動も経験を
- 様々な保健師の働き方を見学し、自分の適性を考える
- 幅広い視野を持つ
- 公衆衛生学や社会学、統計学などの知識も重要
- 地域や組織全体を見る視点を養う
- 政策や制度への関心も持つ
- コミュニケーション能力を磨く
- 様々な年齢層や背景を持つ人と関わる力
- プレゼンテーションやファシリテーションのスキル
- 他職種と協働するための調整力
- 自分の強みを見つける
- 興味のある分野や得意な活動を見つける
- 保健師として活かせる自分ならではの特性を考える
- 将来のキャリアプランを考えておく
新人保健師の方へ
保健師としてのキャリアをスタートさせた方へのアドバイス:
- 基本を確実に身につける
- 家庭訪問や健康教育、健診などの基本技術
- 地域資源や関係機関の把握
- 事務処理やデータ管理の方法
- 先輩や他職種から学ぶ姿勢
- 先輩保健師の動きをよく観察
- わからないことは素直に質問
- 他職種の専門性や視点に学ぶ
- 自己研鑽の習慣づけ
- 研修や勉強会への積極的参加
- 専門書や学術論文を読む習慣
- 事例検討会などでの学び
- 活動の記録と振り返り
- 日々の活動を丁寧に記録
- 定期的な振り返りで成長を確認
- 事例のまとめや研究的視点も持つ
中堅・ベテラン保健師の方へ
経験を積んだ保健師の方へのアドバイス:
- 専門性の深化と拡大
- 特定分野の専門性を高める
- 新たな分野への挑戦
- 学会や研究活動への参加
- 後進の育成と支援
- 新人保健師へのサポート
- 実習生の指導
- 現任教育への関わり
- ネットワークの構築と活用
- 多職種との連携強化
- 他地域の保健師との交流
- 様々な機関とのつながり
- 政策への関与
- 現場の声を政策に反映させる活動
- 地域保健計画などへの参画
- エビデンスの蓄積と発信
まとめ:保健師としてのキャリアを考える
保健師は、人々の健康を予防的・包括的に支援する専門職として、多様な場で活躍することができます。保健師を目指す方や、キャリアの転換を考えている方は、以下のポイントを意識することをおすすめします:
- 自分の価値観や志向性の確認
- 何を大切にして働きたいのか
- どんなやりがいを求めるのか
- どのような働き方を希望するのか
- 勤務先選びの視点
- 業務内容と自分の興味・強みの一致
- 働き方や勤務条件の希望
- 職場の風土や教育体制
- 継続的な成長のための努力
- 基礎力の向上と専門性の深化
- 新しい知識・技術の習得
- 実践と研究の両立
- ライフステージに合わせた働き方
- ライフイベントとの両立
- キャリアプランの柔軟な調整
- 長期的な視点での選択
保健師としての道は一つではなく、様々な可能性があります。自分の強みや興味を活かしながら、社会のニーズにも応える形で、充実したキャリアを築いていただければと思います。
人々の健康と幸せのために働く保健師は、これからも社会に欠かせない存在です。皆さんの保健師としての歩みが、多くの人の健康と幸福に貢献することを願っています。
